小学校高学年で分数の計算を扱います。
分数は理屈が難しいだけでなく、なかなか飲み込めない単元の1つではないでしょうか。
分数の掛け算の中でも、見た目以上に苦戦するお子さんが多いのが、「整数×分数」の計算です。
やり方としてはそんなに難しくないのですが、整数をどのように扱えばいいのかが分からないために混乱するお子さんがでてきます。
今回の記事では、約分のない「整数×分数」の計算のやり方について書いてみたいと思います。
約分なしの整数と分数のかけ算のやり方は?
「整数×分数」の計算の仕方を例題を使って考えてみましょう。
$$(1)3\times \frac{1}{2} (2)4\times \frac{2}{5}$$$$(3)2\times \frac{3}{7} (4)5\times \frac{1}{3}$$
それでは、(1)から解いてみましょう。$$(1)3\times \frac{1}{2}$$「整数×分数」の計算は、整数を分子にかけることで計算することができます。
つまり、この問題では、$$3\times \frac{1}{2}=\frac{3\times 1}{2}$$という感じで計算するとOKです。
あとはこれを計算して答えは、\(\frac{3}{2}\)となります。
やり方を覚えてしまえばなんてことがないのですが、なぜ分子に整数を掛けると答えが出せるのかについて考えてみましょう。
理屈が分かれば、忘れても自分で導くことができるので、理屈まで分かってもらえるといいと思います。
・約分なしの分数の掛け算の計算のやり方や意味の教え方は?
整数を分数にして考えてみる
1つめの考え方は整数を分数に変えて考えると分かりやすくなります。$$(1)3\times \frac{1}{2}$$を元に考察してみます。
まずは3を分数で表してみましょう。
3を分数で表すと\(\frac{3}{1}\)となります。
3を\(\frac{3}{1}\)に置き換えてみると式は、$$(1)3\times \frac{1}{2}=\frac{3}{1}\times \frac{1}{2}$$となります。
あとは分子と分子、分母と分母を掛けると答えを出すことができます。$$(1)3\times \frac{1}{2}=\frac{3}{1}\times \frac{1}{2}=\frac{3\times 1}{1\times 2}$$となり、答えは\(\frac{3}{2}\)と考えることができます。
もう1つ別のやり方をみてみましょう。
掛け算の理屈を使って考えてみる
次に掛け算の理屈を使って考えてみます。
またまた$$(1)3\times \frac{1}{2}$$を使って考えみましょう。
ここでかけ算の意味の復習を簡単にすると、\(2\times 3\)は、「2が3個」もしくは「3が2個」という意味でした。
この理屈をもとに考えみると、\(3\times \frac{1}{2}\)の意味は、「3が\(\frac{2}{3}\)個」もしくは「\(\frac{2}{3}\)が3個」という意味になります。
今回は後者が考えやすいので、後者を使ってみたいと思います。
後者の考え方で\(3\times \frac{1}{2}\)の意味を考えてみると「\(\frac{1}{2}\)が3個」ということになります。
ということは、$$3\times \frac{1}{2}=\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}=\frac{1+1+1}{2}=\frac{3\times 1}{2}$$という形になり、結局は整数を分子にかけた形になります。
整数×分数の計算はどう教えたらいい?
実際お子さんに教えるときは「整数を分子に掛ける」ということがうまくいっていればそのままでOKではないでしょうか。
なかなか計算がうまくできない時は、整数の分母に1を書き加えて\(\frac{整数}{1}\)として、計算するとしやすいと思います。
ただ、これをいつも書き加えて…というのは、手間になるので、慣れてきたら直接整数を分子に掛けることができるようにすればいいですね。
それでは例題の(2)を解いてみましょう。$$(2)4\times \frac{2}{5}$$整数を分子に掛けると答えが出せるので、$$(2)4\times \frac{2}{5}=\frac{4\times 2}{5}=\frac{8}{5}$$となります。
「整数を分子に掛ける」ということが分かっていればすんなりできると思います。
ちょっとうまくできないなぁという時は、4を分数\(\frac{4}{1}\)に書き換えて計算するとしやすくなります。$$(2)4\times \frac{2}{5}=\frac{4}{1}\times \frac{2}{5}=\frac{4\times 2}{1\times 5}=\frac{8}{5}$$とすると理解しやすくなります。
(3)、(4)も同じように解いてみると、(3)の答えは、\(\frac{9}{7}\)、(4)の答えは、\(\frac{5}{3}\)となります。
計算そのものも難しくはないので、きちんと慣れることができるといいですね。
それでは練習問題を解いてみましょう。
練習問題
1、\(4\times \frac{3}{5}\)
2、\(8\times \frac{2}{3}\)
3、\(3\times \frac{3}{4}\)
4、\(2\times \frac{3}{5}\)
5、\(7\times \frac{1}{8}\)
解答
1、\(\frac{12}{5}\)
2、\(\frac{16}{3}\)
3、\(\frac{9}{4}\)
4、\(\frac{6}{5}\)
5、\(\frac{7}{8}\)
まとめ
今回の記事では、約分のない「整数×分数」の計算のやり方について書いてみました。
やり方そのものは、整数を分子にかければおしまいです。
しかし、そうは言っても、この計算がうまくできないというお子さんも見かけます。
そんな時は、整数の分母に1を書き加えて、「整数×分数」を「分数×分数」になおして計算するとやりやすくなります。
また、今回の記事では「整数×分数」について書きましたが、「分数×整数」でもやり方は全く変わりません。
整数を分子に掛けることで計算することができます。