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計算するから難しい!小学生の場合の数は「数え方」が大事!

今までの算数では式を立てて答えを出すという流れが多いと思います。
しかし、場合の数は図や表が中心となる今までの単元とは異色な単元になります。
やっていることそのものは難しくないのに、やりにくさやどこから手を付けていいのか分からないと感じてしまうお子さんが少なくありません。
そんなお子さんたちへの場合の数の教え方について書いてみたいと思います。

計算するから難しい!小学生の場合の数は「数え方」が大事!

小学生の場合の数はあまり計算で求めるということはしません。
もちろん計算で求めることもできますが、まずは数えられるようになることが大切です。
式を書いて答えを書くものだと思っていることがあると、どうすればいいのか分からなくなってしまいます。

まずはきちんと図や表、書けないようであれば絵でもいいので、どうにかこうにか数えられるようになることを目標にするとやりやすいと思います。
まずは数えて答えが出せることを目指しましょう。

数えるよりも計算で出すほうがいいんじゃないの?

数えて答えを出すというのは算数としてのやり方がいまいちと感じるお子さんもいると思います。
実際教えていると、数えるということを嫌がるお子さんもいます。
算数は暗算で求めたり、速く解くことがいいことだと思っているお子さんにとってはある意味屈辱的な求め方なのかもしれません。
また親御さんの目から見ても、なんだかいまいちな解き方に見えるということもあると思います。
さらに、本やサイトによっては、計算で出すと楽だということで、計算による方法が紹介されています。
場合によってはPやC[1]高校1年生の場合の数(数学A)で習う解き方です。を使った求め方がすすめられていることもあります。

しかし、計算による解き方がうまくできる子はかなり少数の子たちになると思います。
中学受験でもかなり上位に属すような子たちです。
小学校のテストでなんとか100点という状態では難しいと思います。
実際公立中学校に通う中学生に計算で場合の数を求めさせても、きちんと解ける子の方が少ないです。[2] … Continue reading

こんなところから考えても、小学生の場合の数では計算はせずに、図や表を使って効率的に数えていくことがおススメです。

数えた方がいいとは言うけど、結局計算なんでしょ?最初から計算でいいんじゃないの?

場合の数の解法は最終的には計算で解くようになります。(はずです)
それじゃ初めから計算式で処理したほうがいいのでは?と思われる方もいると思います。
大抵、数式で解く方が易しいということになっていますしね。
確かに解くという意味では楽です。
数えるとたくさん書かないといけませんし。
実際数式を見るとちょっと計算すると答えがでることがほとんどです。

「数式、計算で解く方が楽=簡単」ということではない

数式、計算で解く方が楽となっていることが多いですが、この楽というのは簡単、易しいという意味ではありません。
答えを求めるまでの時間が短い、もしくは、あまり書かなくても解くことができるという意味です。

数えられないのに、式を立てて解くというのは現実的にはかなり難しいです。
しっかり数えることができれば、立式はしやすくなります。
数えるのがしんどいから計算式をたてようと考え、式を使った計算方法が生まれたはずです。
まずは問題文をきちんと解釈し、図や表で書き、数えられるようになるといいと思います。

場合の数は上手に数えてできるようになろう

小学校で習う場合の数は、数え方が命です。
図や表などを使って上手に数えられるようになりましょう。

場合の数を数えるときの基本は辞書順!

図や表、樹形図などを使って数えるときの1番の基本は何と言ってもこれ!
辞書順に並べるということです。
このメリットは、同じものを何度も数えなることなく重複を防ぎ、数え忘れがないのがメリットです。
特に通り数が増えてくると適当に数えていると、どうしても数が合わなくなります。
どういうことなのか、例題を使ってみていきましょう。

例題1

1, 2, 3の数字が書かれたカードが3枚あります。これらのカードを並び替えて3ケタの数を作ります。何通りの数ができますか。

とりあえず数えてみましょう。
1つずつ3ケタの数を書き出してみたいと思います。
まずは、123と書いてみましょう。

次の数は何でしょうか。
もちろん123以外の数字であればOKです。
次に213と書いてみます。

さらにもう一つ132と書いてみます。

なにも考えずに書き出してみましたが、どうでしょうか。
この次には何を書きましょうか?
全てを書き出して数えればいいだけなのですが、きちんと規則的に書き出さないと難しくなります。
漏れなく、重複もなく数えたいのですが、あとどの数を書き出していないのかが分かりにくいですね。
まだ、これが3ケタなのでいいのですがこれが4けたになったり、使う数字が増えたりすると大混乱という事態になってしまいます。
その結果、数え忘れがでてしまったり、2回同じ数を数えてしまったりということが起こってしまいます。
また、数え終わった時に自信を持って答えを書くことも難しくなります。

そんなふうにならないようにするために、過不足なく全通りを書き出すのに必要な考え方が辞書順で書き出すという考え方です。
辞書順というのは、国語辞典や英和辞典などのような並びのことです。
数字を並べる場合は、小さい数字から並べていけばOKです。

一番小さい3ケタの数は、123ですね。
次に小さい数は132になります。
百の位が1の数はこれで終わりなので、次に百の位が2の数を小さい順に書き出していきます。
213, 231が百の位が2の数のすべてです。
同じように、百の位が3の数をすべて書き出します。
312, 321

これで全ての数を書き出すことができました。
あとは書き出した数の個数を数えて、答えは6通りとなります。
辞書のように規則的に書き出すことができるとスムーズに数え忘れもダブりもなく、うまく数えることができます。
さらにもう1問やってみましょう。

例題2

A, B, Cのアルファベットが書かれたカードが3枚あります。これらのカードを並び替えて文字列を作ります。何通りの文字列ができますか。

先ほどの、1, 2, 3のカードを並び替えた問題とそっくりですね。
1, 2, 3の数字がアルファベットのA, B, Cに変わりました。
先ほどと同じように全部書き出してみましょう。
辞書順(ABC順)に書き出しますよ。

ABC, ACB
BAC, BCA
CAB, CBA

と、なり6通りとなります。
どうでしょうか。
先ほどの数字の書いたカードを並び替えた例題1の場合と比べると難しいですよね。
特に小学生はアルファベット順に不慣れということもありやりにくいと思います。

辞書順で並べて数えにくいときはどうすればいい?

こんな時は、Aを1に、Bを2に、Cを3に置き換えて考えると並べやすくなります。
アルファベットを数字に置き換えて考えると例題1と全く同じになり、6通りとなります。
アルファベットだとどれが先なのか後なのか混乱してしまうときには、こんな風に数字に置き換えてしまうというのも手です。
置き換えてしまえば数字を並び替えたことと同じなので、全通り書き出すのも楽になります。

こんな問題の時にも同じ方法が使えます。

例題3

たかしくん,たかおくん,たかこさんの3人がいます。3人を1列に並べるとき何通りの並び方がありますか。

アルファベットであれば、小学生にはイメージしずらいかもしれませんが、一応は辞書順があります。
機械的に辞書順と考えてやりにくいのが人の名前になった場合です。
この問題ではたかしくん、たかおくん、たかこさんの3人が登場します。
あえて辞書順と考えると、3人の名前は2文字目までが同じで、3文字を比較して、たかおくん、たかこさん、たかしくんの順番と並べる…なんてことを考えると面倒です。
並べている途中でたかおくんが先だったかな?たかしくんが先?いやたかこさん・・・?なんてことを考えていると訳が分からなくなってしまいます。
混乱した状態で樹形図などをの図を書くと、数え漏れがでてしまったり、同じものを何度も数えてしまったりということがでてきます。
折角、図を書いているのに、間違ってはもったいない!

そうならないためにも、先ほどと同じように数字に置き換えてしまいましょう。
たかしくんを1、たかおくんを2、たかこさんを3としてみましょう。

すると、例題1の時と同じように数字を小さい順に並べて、何通りかを求めることができます。
例題3も例題1と同じように小さいほうから数字を並べていくと6通りとなります。
表現が変わるだけで小学生のお子さんは、問題が解きにくく感じてしまうことがあります。
そんなときでもちょっと見方を変えたることで容易にとけるようになることもあります。

まとめ

算数の場合の数について書いてみました。
いきなり計算式から出すというのは難しい単元になると思います。
まずは、数えるコツをつかむことが解けるようになる一歩目になります。
その後は、図や表、樹形図などが書けるようになるとより効率的に分かりやすく全通りを書き出せるようになると思います。
この過程を飛ばして数式だけで解こうとすると、易しい問題であれば対応ができても、ちょっと応用問題になったり、表現が変わっただけで解けなくなってしまいがちです。
回り道に見えてもまずは図や表を書いて何をしているのかの理解をしてもらいましょう。

小学校、中学校、高校それぞれで場合の数が出てきますが、小学生や中学生は基本的に数えて解答を求めます。
場合の数を求める時に計算式が主体になるのは高校生になってからです。
高校生でさえ、PやCがきちんと使える子たちはそれなりにできる子です。
高校生であれば余裕でできるというものでもないので、小学生に計算式主体で解かせるのかなりの上位層を除けば教える必要がないと思います。

きちんと数えて答えが出せるようなってから、式を立てることを考えるとうまくいきやすいです。
数えることもできないのに数式をたてるというのは実は高度な技だと思いますよ。

辞書順で書き出すコツが分かったら、関連記事から順列や組み合わせの問題を解きながら、樹形の図が書けるようになるといいと思います。

【関連記事はこちら】
場合の数で習う順列(並べ方)の問題が苦手な小学生への教え方

小学校で扱う場合の数の組み合わせの考え方

小学生の繰り返しの場合の数、コインの表裏の通り数を樹形図を使って数えよう

References

References
1 高校1年生の場合の数(数学A)で習う解き方です。
2 中学生の場合の数も基本的には数えます。高校受験でも基本的な解き方は、図や表を使って数える方法になると思います。私立中学の場合は学校による差も大きいですが、ある程度上の中学校だと計算が主体になると思います。