分数の割り算では、割る数の逆数を掛けて計算する理由は小学生にとってはなかなか難しいものです。
大人でも何で?と聞かれたて、答えられる方がどれくらいいるのでしょうか。
スラスラと小学生に説明できるのであればすごいことです。
おそらく説明できないという方の方が多いのではないでしょうか。
と、いうことは小学生にとっては理解することが難しいものです。
今回の記事では割り算の性質を使って、分数の割り算では割る数の逆数を掛けて計算するのかについて書いてみたいと思います。
分数の割り算で割る数の逆数を掛ける理由を割り算の性質を使って説明すると・・・
分数の割り算の計算で、なぜ割る数の逆数を掛けるのかというのは難しいものですね。
こういうところって意外と小学生の子たちにとって疑問になりがちなところなのですが、結構質問すると覚えなさいと言われてしまうことが多いのではないでしょうか。
以前にも分数の割り算ではなぜ割る数の逆数を掛けるのかということについて書いてみましたが今回は別のやり方で説明したいと思います。
・なぜ分数の割り算で逆数を掛けるの?ひっくり返して計算できるのはどうして?
今回は割り算の性質を使って説明してみますね。
割り算の性質を使って、分数の割り算ではなぜ割る数の逆数を掛けるのかについて説明するよ
まずは割り算の性質について簡単に復習しましょう。
割り算の計算をするときには、割られる数と割る数に同じ数を掛けても、割ってもいいよという性質があります。
例題を使って確認してみますね。
(1)\(36\div 12\)
(2)\(1.2\div 0.03\)
(1)から見ていきましょう。
\(36\div 12\)は九九の範疇をでてしまうので、ちょっとやりにくいですね。
ここで割り算の性質、割られる数と割る数を同じ数で割ってもいいという性質を使って解いてみましょう。
36も12も偶数なので2で割ることができますよね。
36と12を2で割ると、
\( (36\div 2)\div (12\div 2)\)という感じになります。
括弧の中から計算すると、
\(18\div 6\)となり商は3となります。
12で割るというのは、かけ算九九ではなくなるのでちょっとやりにくいです。
この時の場合のように割る数と割られる数を同じ数で割ることずいぶんと計算がしやすくなりました。
それでは(2)を見ていきましょう。
(1)は割る数も割られる数も小数です。
割る数も割られる数も整数であれば計算しやすくなります。
割る数も割られる数も100倍すれば、整数になるので、どちらも100倍してみましょう。
\( (1.2\times 100)\div (0.03\times 100)=120\div 3\)となります。
後は計算をして、答えは40となります。
そのまま計算するよりはかなり計算しやすくなるのではないでしょうか。
なぜそんなことができるのかが、分かりにくいときは、分数でイメージすると分かりやすいかもしれません。
\(割られる数\div 割る数=\frac{割られる数}{割る数}\)となります。
割られる数と割る数に同じ数を掛けるというのは、分母と分子に同じ数を掛けていることと同じ意味になります。
また、割られる数と割る数を同じ数で割るというのは、約分と同じことをしている感じですね。
分数にすると分かりやすいかもしれませんね。
この割り算の性質を使って、分数の割り算は、割る数の逆数を掛けると計算できるのかについてみていきます。
まずは例題を使って見てみましょう。
(1)\(\frac{3}{5}\times \frac{7}{4} \)
約分などができると計算が面倒なので約分のできない問題を選んでみました。
先ほどの割り算の性質、割られる数と割る数に同じ数を掛けてもいいという性質を使います。
割られる数と割る数に\(\frac{4}{7}\)を掛けてみましょう。
なぜ\(\frac{4}{7}\)を掛けるのかというと、割られる数と割る数に同じ数を掛けたときに\(◎\div 1\)という形にするためです。
\(◎\div 1\)となれば、この時の答えは◎ですよね。
それでは、割られる数と割る数に\(\frac{4}{7}\)を掛けてみましょう。
\( (\frac{3}{5}\times \frac{4}{7})\div (\frac{7}{4}\times \frac{4}{7})=\frac{3}{5}\times \frac{4}{7}\div 1\)となりました。
後は計算をして、答えは\(\frac{12}{35}\)となります。
割る数を逆数にせずに計算できた感じですね。
なぜ分数の割り算では割る数の逆数を掛けるの?
簡単な文字を使って説明してみますね。$$\frac{a}{b}\div \frac{c}{d}$$を使って説明します。
割られる数\(\frac{a}{b}\)と割る数\(\frac{c}{d}\)に、それぞれ\(\frac{d}{c}\)を掛けてみます。$$(\frac{a}{b}\times \frac{d}{c})\div (\frac{c}{d}\times \frac{d}{c})$$となります。
後ろの括弧内を計算すると1になるので、\(\frac{a}{b}\times \frac{d}{c}\)となります。つまり$$\frac{a}{b}\div \frac{c}{d}=\frac{a}{b}\times \frac{d}{c}$$となることになります。
しっかり割る数の逆数の掛け算になることが分かりました。
まとめ
今回の記事では割り算の性質を使って、分数の割り算では割る数の逆数を掛けて計算するのかについて書いてみました。
このやり方は、小学生たちにとってもかなり理解しやすいのではないでしょうか。
分数の割り算の計算をするときに、割る数の逆数を掛けるというのは、算数の中でも子どもたちにとって、奇異な物にみえるところだと思います。
特にこのことを、知ったからと言って特別算数で有利になるということはありません。
しかし、このことを、事実として暗記したり、事実として捉えた場合と比べると、事実に見えることもきちんと理屈があるというメッセージをお子さんに送ることができるのではないでしょうか。
このことを知った小学生って良い反応をしてくれることも多いです。
口には出さなくても疑問に思っている小学生って多いのかもしれませんね。